オクトパスブリージング(バックアップ空気源の使用)のやり方
ダイビングの最中に自分の空気が切れたら…。生死に関わりかねない緊急事態ですが、バディのエアを分けてもらうオクトパスブリージングが対応手段になります。
ここでは、ダイビングのオクトパスブリージングについて紹介していきます。
オクトパスブリージングとは
「オクトパスブリージング」とは、ダイビング中にエアが切れた際、バディからエアをもらう緊急対処法のことです。オクトパスとは、バックアップ空気源のことを指しています。
海中で「気づいたらエアがない!」という事態は、あってはならないことですが、予期せぬトラブルなど、可能性がまったくないわけではありません。どんなときでも実施できる基本的なダイビングスキルのひとつとして身につけましょう。
オクトパスブリージングの呼称(呼び方)について
オクトパスブリージングの呼称(呼び方)は、オクトパスが開発された1970年代には、「バディブリージング」と呼ばれていました。その後、オクトパスが、バディだけでなく、自分のレギュレーターのエア切やトラブルに対応するために使われるようになると、レギュレーターの配置などにも変化が見られるようになっていきます。
現在では、ダイビングの指導団体で呼び方の統一がされており、オクトパスブリージングは、正式には「バックアップ空気源の使用」と呼ばれています。
オクトパスブリージングを行なうシーン
オクトパスブリージングを行うシーンは、バディにエア切れが発生したときです。ダイビング中に発生するかもしれないバディのエア切れは、バディや自分のパニックや、最悪の場合、死亡事故に至る可能性もあります。落ち着いて対応すべきシーンでもあります。
オクトパスブリージングは、あくまでもバディのエア切れ=緊急事態に行うものです。「自分はエア切れしたが、バディはまだある」と考え、ダイビングを続行することは間違い。オクトパスブリージングをしながらダイビングを続けることは絶対にやめましょう。
オクトパスブリージングのやり方
オクトパスブリージングは、次のような流れで行います。
バディにサインを行う
エアが切れる場合、最初にすべきことはバディにエア切れのサインを送ることです。サインはハンドシグナルで行い、のど元を手で切るようなジェステャーになります。
このタイミングでバディが近くにいない場合は、ダイビングのガイドやインストラクターに助けを求めましょう。
バディからオクトパスを受け取る
自分がエア切れの状態にあることをバディが認識してくれると、今度はバディの方からオクトパスが差し出されます。この段階でも落ち着きを保ったまま、できるだけオクトパスから空気を吸いやすい場所に近づきましょう。
オクトパスを口に加えたら、パージボタンを押し、内部の水をクリアします。その後、2回ゆっくりと呼吸をして確かめましょう。バディとの距離が離れるとオクトパスが外れてしまいますので、バディのひじや上腕部などを掴んで、離れないようにしましょう。
ゆっくりと浮上する
空気を吸い、落ち着いた状態を確保でいたら、最後に浮上の準備を行います。海中で浮上するには、BCの排気を行います。インフレーターの排気ボタンを持ち、ゆっくりと浮上していきます。
注意したいのは、あくまでもゆっくりと浮上をすること。毎分9メートルほどの速度を心がけながら、急浮上にならないように注意しましょう。また、水深3~5メートルのあたりで安全停止ができるようであれば行いましょう。ただし、残圧が少ない場合は海面を目指すことを優先しましょう。
オクトパスブリージングに多い勘違い・注意点
オクトパスブリージングによくある勘違いや注意点としては、まず、バディのオクトパスをすぐに手に取ろうとすることをあげられます。オクトパスを奪われるとパニックに陥る可能性もあり、潜水事故に発展してしまうケースもあります。自分がエア切れになったとしても、いきなりバディのオクトパスを奪ってはいけません。
また、オクトパスブリージングを行う時点で、既に緊急事態の状態にあります。バディのエアがあるからと言って、オクトパスブリージングをしながらダイビングを続行してはいけません。
そもそもエアが切れるとは
ダイビング中、エア切れを経験したことがある人は少ないことでしょう。エア切れになると、当然ながら空気を吸うことができなくなりますし、残圧計もゼロを指している状態です。
一般的に、レギュレーターは残圧が低下してくると、空気を吸いにくくなる構造になっています。そのため、「吸いにくさ」を感じている時点でエアの残量を確かめると、すでに残圧は20を切っている場合もあります。安全を確保できるようエア切れを意識しながら、落ち着いて行動しましょう。