どんな危険生物がいるの?
海に生息する生き物の中には、危険生物と呼ばれる種類がいます。ダイビングをするときに注意したい危険生物や、刺された時の対処法をまとめました。
クラゲ
カツオノエボシ
海中ではなく、海面に浮いているタイプのクラゲです。見た目は青く美しいクラゲですが、強い毒をもっているため、痛みと共にミミズ腫れや炎症が発生します。長時間痛みが続き、最悪の場合ショック死することもある危険生物です。
ハブクラゲ
“箱クラゲ”の一種で、円形ではなく立方体の傘を持っています。長い触手が伸びる特徴があり、死亡例も出るほど、毒性が強いクラゲです。熱帯ではハブクラゲと呼ばれていますが、本州ではアンドンクラゲとも呼ばれています。
クラゲに刺されたら
クラゲに刺されたときは、すぐに海から上がりましょう。クラゲの触手が認識できるほど患部に残っている場合は、ピンセットや手袋を使い取り除きます。確認できない場合は、海水で洗い流しましょう。患部を冷やすか温めるか迷ったときは、40度以上のお湯で温めると、比較的早く痛みが和らぐため、まず温めることをおすすめします。
もし、複数回刺されている場合、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。応急処置をしたのち、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
魚
ゴマモンガラ
ダイビングをする人の中では、”破壊王”や”海のギャング”とも呼ばれる危険生物です。ゴマモンガラの赤ちゃんは、小さくて可愛らしいため、水族館でもよく見かける魚です。
しかし大きくなると強く鋭い歯と攻撃性を持ち、もし噛まれてしまうと、ウエットスーツの上からでも傷が残るほどの強い威力を持ちます。毒性はないものの、何針も縫うような大怪我をした事例もあるため、十分気をつけましょう。
ゴマモンガラには近づかないようにする
ゴマモンガラは通常期に近づいてもそこまで攻撃的にはなりませんが、産卵時期に近づくと非常に動きも活発になり激しくなるため、注意が必要です。特に6〜8月は警戒心が非常に強く、執拗に攻撃してきます。ゴマモンガラを見つけた場合、すぐに立ち去りましょう。
オニダルマオコゼ
背びれのとげ部分に、強い毒を持つ危険生物です。パッと見ると藻が生えた岩に見えるため、何も知らずに触れたり踏んだりすることもあります。普段は砂に潜っていることもあるため、十分気をつけましょう。毒の量が多く、刺されると重症化してしまう可能性もあります。刺されると強い痛みを感じ、周辺が腫れ、沖縄では死亡例も出るほどの危険生物です。
もし刺されたら
刺されたときは、45度以上のお湯につけましょう。熱めのお風呂に患部をつけるイメージです。オニダルマオコゼは熱に弱いため、お湯につけると不活性化しますが、強力な毒を持っているため、すぐに病院へ行きましょう。
ゴンズイ
体長10~20cm程度の小さな魚ですが、胸ビレ・尾ビレの棘に刺さると強い痛みを感じ、大きく腫れ上がる危険生物です。ぱっと見るとナマズのような顔をしています。見た目は可愛らしいのですが、決して触らないようにしましょう。ゴンズイは死んでいても毒は残るので、生きているゴンズイだけでなく死んでいるゴンズイを見かけた際も注意しましょう。
もし刺されたら
応急処置をする前に、病院へ行くことをおすすめします。もし応急処置をする場合は、60度以上の熱でないと分解できないため、火傷しない程度のお湯で消毒しましょう。
ハナミノカサゴ
白い羽が広げ、踊るようにゆっくりと優雅に泳ぎますが、追い回すと毒針で攻撃する危険生物です。毒針は一部分ではなく、頭・胸ひれ・背びれにも強い毒をもちます。綺麗な魚なので、思わず写真を撮りたくなって追いかけてしまいがちですが、ほどほどにしましょう。もし刺された場合、腫れたのち全身に痛みが広がります。
もし刺されたら
傷口をよく洗ったあと、40~50度のお湯に長時間つけましょう。60分〜90分程度の時間つけるのをおすすめします。応急処置で痛みは引いたとしても、刺された場所に棘が残っている可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
タコ
ヒョウモンダコ
10cmほどの小さなタコですが、浅い海や潮だまりに生息する危険生物です。ヒョウモンダコの唾液には、フグに同じ毒(テトロドトキシン)を含みます。ヒョウモンダコは、おとなしいため自分から攻撃はしてこないものの、毒性が強いため、むやみに触れるのはやめましょう。
もし咬まれたら
噛まれたらまず海から上がり安静にし、傷口の血を絞って押し出します。流水で毒を洗い流し、医療機関で適切な治療を受けましょう。呼吸困難になっている場合は、人工呼吸をします。ヒョウモンダコの毒は、胃で消化できないため、口で毒を吸い出すのはやめましょう。
その他の生物
オニヒトデ
全身が棘で覆われている大きなヒトデで、珊瑚礁に生息している危険生物です。オレンジやブルーなどカラフルで綺麗な生物なため、思わず触れてしまいそうですが刺されると激しい痛みを感じます。一時的なものではなく、人によっては数日間症状が続くため、注意しましょう。
もし刺されたら
まずは刺さった棘を取り除き、傷口を40~50度お湯につけます。棘を取るときは、真っ直ぐ抜きましょう。曲げたり揺らしたりすると、体内に残る危険性があります。応急処置で済まさず、医療機関で治療を受けましょう。
ウミヘビ
ウミヘビは、噛まれてしまうと死に至る可能性もあるほどの危険性物です。ハブの何十倍の強さを持つ危険な生物ですが、攻撃したり暴れたりしないかぎり、ウミヘビから人間を襲う可能性は低いでしょう。ウミヘビを見かけても慌てず、ゆっくり離れてください。
もし咬まれたら
ウミヘビに咬まれた場合は、すぐに海から上がり、一刻も早く病院に行きましょう。血流が良くなって毒が回らないよう、できるだけ安静に、動き回らないのがポイントです。