ダイビングの基本ルール「バディシステム」とは?
ダイビングでは、基本ルールとして2人一組で潜る「バディシステム」というものがあり、互いの安全を守りながら楽しくダイビングを行うためにも、バディシステムについてきちんと理解しておかなければなりません。
バディシステムとは何か?
互いの命を守るパートナーが「バディ」
「バディ」とは、海中へ潜る際にタッグを組むパートナーのことです。ソロダイビングを除けば、ダイビング中は原則としてバディと相互に確認を行いながら、2人一組で安全に行動することが必要です。
バディと2人だけでダイビングを楽しむ時も、大勢のグループでダイビングを楽しむ時でも、常に自分とバディは最も身近なパートナーとして行動することが求められ、想定外のトラブルが起きても、バディがいることで未然に防ぎやすくなります。
ガイドやインストラクターとバディは違う存在
ダイビングツアーや講習会では、現地ガイドやインストラクターが引率してくれますが、彼らはあくまでもグループ全体の統率者であり、自分の安全を最も近い場所で守ってくれるのはバディになります。また、バディの安全についても自分が最初に守るという意識が欠かせません。
バディとの関係性は海へ潜る前に決めておく
バディはダイビングの最初から最後まで、常に近くで互いを見守り合う関係のため、その役割やルールなどについては必ず海へ潜る前に決めておくことが重要です。
海中での位置関係や浮上のタイミング(潜水予定時間)、最大深度といった基本的な行動予定について事前に話し合い、バディ同士で器材のチェックを行うなど、海中へ潜る前からバディとの連携は始まっていることを認識しておきましょう。
バディとのチェック項目
バディと共有すべき項目には以下のようなものがあり、その他にもお互いに必要と思われることは積極的に確認しておく意識が必要となります。
- エントリー/エキジットの場所
- ダイビングコース/予定時間/最大深度
- 合図やコミュニケーション手段
- タンク残量と戻るタイミング
- 位置関係と相互確認のルール
- はぐれた時の対処法
- ダイビング目的と優先事項
海中では常にバディと互いの状態を確認し合う
ダイビング中は慣れていないとついつい残圧のチェックを怠ってしまいがちになります。そのため、自分の残圧をバディに伝えるだけでなく、バディの残圧を常にチェックすることも必要です。
例えば、移動したいと思った時に合図を送り合ったり、少しでも異変を感じればバディへ伝えて一緒に行動したりするといったことも欠かせません。
バディの責任は経験に左右されない
ダイビング初心者とベテランがバディを組んで潜る場合、基本的に行動指針はベテランが定めることになるでしょう。しかし、海中では予期せぬトラブルが起きるリスクが常にあります。
もしも2人でダイビングを行っている時、互いに頼れる相手はバディだけになります。そのため、初心者だからといって相手に全てを委ねるのでなく、あくまでも自分自身がバディとして、責任と自覚を持った行動を心がけるようにしてください。
バディシステムのメリット
ダイビングの準備をする際の器材チェックや装備する際の助け合いで準備をスムーズに行うことができます。また、ダイビング中の空気量のチェックなどの命に直結するような確認をバディで行うことで、トラブルを未然に防げるでしょう。
万が一トラブルが発生した時でも、バディがいることで発見が早ることや、酸素が共有できるなどトラブル対応の幅が広がることも大きなメリットです。
セルフダイビング
ガイドやインストラクターを付けないダイビングとして、セルフダイビングがあります。セルフダイビングも基本的には2人1組で潜ることから、バディダイビングとも呼ばれています。セルフダイビングにはメリットもありますが、ガイドがいない分バディの存在が重要になります。
セルフダイビングのメリット
安価に自分のダイビングを楽しむことができる
セルフダイビングは、自分たちのダイビングプランをゼロから立てることができます。行きたい場所に行きたいタイミングで行き、好きな場所で探検や観察することができるため、プロが準備したコースを一緒に回るのとは違った感動があるでしょう。
また、プロのダイバーにお願いするとかかる依頼料もかからないため、場合によっては半額程度の出費で収まるのも大きな魅力です。
セルフダイビングのメリットのデメリット
自分とバディのみでの対応が必要
自由に海を楽しむことができる反面、万が一のトラブルには自分とバディのみで対応しなくてはなりません。状況判断から対策、トラブルの解決まで、正しい知識を持ってすべて自分たちで助けあって行う必要があります。常に気を張っておく必要があるため、精神的に疲れることが多いでしょう。
また、ガイドやインストラクターなどのプロがいない分、安全確認がより重要になるため、バディ同士の負担も増えます。計画に関しても、自分やバディの技術を考慮したうえポイントや潜水時間を決める必要があります。
バディとの信頼関係の構築が困難
楽しい時間を過ごすためのダイビングですが、一般的な遊びよりも命の危険を伴う場面が多いのも特徴です。そのため、バディとの信頼関係がかなり重要になってきます。何度もバディとしてダイビングを行っている相手なら信頼関係が結ばれているかと思いますが、ひとりで参加したダイビングツアーであれば初対面のダイバーと助け合わなければいけません。目的や考えを完璧に共有することや、お互いの呼吸を読んだ行動を海の中で行うことは難しいでしょう。
命の危険を伴う場面では小さな不安でも精神的なストレスになってしまうため、お互いを良く知った信頼できるバディと潜ることが理想的ですが、信頼できるバディを探すのはなかなか難しいものです。
セルフダイビングができる場所
セルフダイビング加盟店で予約する
セルフダイビングは、サイトから予約することができます。技術や保険など、自己申告で登録しておくだけでOKです。セルフダイビングの加盟店では「AEDや酸素の設置」や「損害倍書保険の加盟」、「緊急時対応のためのシステム構築」、「定期的にレスキュー訓練や応急処置訓練を実施している」などダイバーの安全を確保するための条件を満たされています。セルフダイビングを行うにあたり最初はハードルが高いですが、初めての方でも参加しやすくなるような配慮がされています。
現地(海外)でダイビングを申し込む
日本の旅行会社でダイビングパックツアーを申し込むと、基本的にはガイド付きのダイビングになります。モルディブのハウスリーフやグレートバリアリーフなど海外に行った際、現地でダイビングを申し込むと、バディのみと行うセルフダイビングが基本で、ガイドはオプションということも多いです。場合によっては、ガイドがつけられない状況もあります。
セルフダイビングに慣れている方は問題ないかもしれませんが、セルフダイビング初心者の方は大変でしょう。また、慣れている方でも初めての場所でいきなりセルフダイビングをするのは危険が伴うため、一度慣れている方と潜り海の状況を把握したうえで、信頼できるバディと潜るようにしましょう。