ドリフトダイビング
ドリフトダイビングとは
ドリフトダイビングとは、潮の流れに乗って行うダイビングのこと。潮の流れが比較的に速いスポットを選んでダイビングし、大型の回遊魚や、大規模な魚群に出会えるのが魅力です。そんなドリフトダイビングは、さまざまな方法があるのでご紹介します。
水面フロートを目印にするタイプ
「水面フロート」はその名の通り、水面に浮いたフロート(浮き)のこと。ドリフトダイビングは一般的に、ラインによってつながれているこの水面フロートを用います。
水面フロートが浮いていれば海面における目印となり、船やボートはダイバーを追跡しやすくなります。それと同時に、ほかの船やボートに対してもダイビングポイントであることを知らせる目印になるので、より安全性が高まるのです。
通常、この水面フロートは、グループのリーダーが引っ張り、ほかダイバーはそのリーダーのもとに集まってドリフトが行われます。
ダイバーの吐く泡を利用するタイプ
水面フロートは便利なアイテムですが、地形や潮の流れによっては適さないスポットもあります。例えば、海底の潮の流れと水面の潮の流れに大きな差があるケースなどです。この場合、水面フロートが引っ張られてしまうため、ダイバー離脱のリスクが発生しやすくなってしまいます。
同様に、海底が起伏のある地形だった場合も、水面フロートにつながれたラインが引っかかってしまう可能性があるため適しません。このようなケースでは、ダイバーを追跡する船やボートが水面に浮かんでくる息の泡を目印にします。
エキジット時に水面フロートを浮上させるタイプ
ダイビングには「エントリー」と「エキジット(エグジット)」という用語があります。エントリーは水に入ることを意味し、エキジットはその逆に水から上がることを意味します。
水面フロートとダイバーの吐く泡の両方を用いたのが、このエキジット時に水面フロートを浮上させるというドラフトダイビング方法です。エントリーしている間、つまり水に潜っている間は吐いた息でボートに追ってもらい、エキジット時に水面フロートを浮かせることで正確な場所を知らせることができます。
ドリフトダイビングを安全に楽しむために必要なスキル
ドリフトダイビングは充分に注意しながらトライすれば楽しめるダイビングスタイルです。しかし、だからといって事故やトラブルがゼロであるとは限りません。こうした事故やトラブルを防ぐために必要なスキルをここでは紹介します。
即潜行
ドリフトダイビングを行うスポットは潮の流れが速いことから、エントリーと同時にすぐダイビングを開始する「即潜行」のスキルが必要になります。そのためにはあらかじめBCD(浮力調整装置)の空気を完全に抜いておく必要も。
中性浮力(ホバリング)
潮の流れが速い場所では、しっかりと中性浮力(ホバリング)を保ちましょう。潮流には水面へと押し上げる力と、海底へと引っ張る力が働いています。中性浮力のきちんと確保した上で潮の流れに乗ることが大切です。
集団浮上
エキジットした際は、水面にグループ全員が浮上するまで船やボートは近づいてきません。船舶がアンカーを下ろしてエンジンを止めているのであれば問題ありませんが、そうでなければ水中にまだ残っているダイバーをスクリューで巻き込む危険性があり。ドリフトダイビングでエキジットするときは集団で浮上するスキルが求められます。
要注意の「ダウンカレント」とは
「ダウンカレント」は、簡単に言えば浅瀬から深い海底へと一気に引きずり込まれる現象を指します。海の潮流は常に同じというわけではなく、潮汐や水温などさまざまな要因によって変化します。そして、こうした流れが浅瀬から深い海底へと流れ込むものに変わると、「ダウンカレント」が発生する仕組みです。
ダイビングする際は、事前にそのスポットでの事故の発生例を確認し、ガイドの注意をしっかり聞いて、流れの速い急斜面へのアプローチを避けるようにしましょう。
ドリフトダイビングスポット【国内編】
日本国内でドリフトダイビングできるスポットと言えば、南伊豆の「神子元島」、そしてその神子元島からも程近い伊豆半島の突端、「中木」地域が有名です。
神子元島周辺の潮の流れは速く、ドリフトダイビングしながら小魚が作った魚群の壁や、ハンマーヘッドシャークなどを目にすることができます。
中木は神子元島よりは潮の流れも速くはなく、ドリフトダイビングに初めてチャレンジする人などが練習するのに向いているスポット。
伊豆だと、ほかには西伊豆の田子の「沖ノ島」や「田子島」裏、雲見の「牛着岩」の裏側なども流れに乗って潜ることができます。
沖縄に目を移すと、そこにはドリフトダイビングのスポットとして有名な与那国島の西崎(いりざき)があります。西崎の岬の先端から潮に乗り、ハンマーヘッドシャークの群れなどに出会えます。
沖縄の中でも慶良間諸島の周辺は外洋ポイントにされており、イソマグロやマンタを目にすることができますが、制限本数が設けられています。そのためダイビングの経験豊富な人向けのスポットです。
ドリフトダイビングスポット【国外編】
国外にはドリフトダイビングに適したスポットが数多く存在しています。そんな中でも日本人に人気なのがパラオ、そしてモルディブです。
特にパラオの「ブルーコーナー」は、世界的にも注目されているドリフトダイビングスポット。ブルーコーナーは、同じくパラオで有名なダイビングスポットの「ブルーホール」のすぐ近くにあります。
まとめ
ドリフトダイビングは自然と一体となり、海の雄大さを存分に感じられる魅力的なダイビング方法です。注意点を守っていれば、ダイナミックな海そのものを目にすることができるでしょう。ただし、上級スキルが求められるため、ダイビングの練習や知識を取得しておくことがとても重要です。
また、ドリフトダイビングにチャレンジしたいのであれば、丁寧な指導をしてくれて、通いやすいダイビングスクールがおすすめ。正しい指導のもとで安全なダイビングを楽しみましょう。