ダイビング後すぐに飛行機に乗るのはNG?
飛行機を利用してダイビング旅行を計画している皆さん。ダイビング直後に飛行機に乗るのは禁止ということを耳にしたことはありませんか。ここでは、ダイビングと飛行機の関係を調査した結果を載せています。ダイビングについてのスケジュール調整についても調べたので、参考にしてみてください。
ダイビングの直後に飛行機に乗ってはいけない理由
通常、ダイビング後から飛行機搭乗までに、12~18時間を空けなければなりません。これは水圧と気圧が関係しています。
水圧
ダイビングでは、空気を詰めたタンクを使用して水中で呼吸をします。必然的に水中では「水圧」がかかった状態で呼吸をしている状態になるのです。空気には酸素だけでなく窒素といった成分も含まれています。窒素は陸上での呼吸で吸収されませんが、水圧のかかった状態で呼吸により体内へ吸収。時間が経てば自然に体外へ出ていくので安心してください。
飛行機の高度と気圧
飛行機に乗り高度が上昇すると気圧は低くなります。飛行機に違和感がでるのは気圧の急激な変化が原因です。その他には、標高の高い山に登っても同じような現象が起こります。この現象がダイビングの直後に飛行機にに乗ると気圧の変化が大きくなるので、乗ってはいけないとなっているのです。
高度と窒素
ダイビング中に体内へ吸収された窒素が残っている状態で飛行機に乗ると「減圧症」になるリスクが高まります。体内に残ってしまった窒素は、高度が上昇すると気圧が低くなり膨らみます。窒素の気泡が体に悪さをする状態が減圧症です。飛行機だけでなく気圧が低くなる場所に行くことが原因で起こるため、登山も控えましょう。
減圧症とは
潜水時間が長いほど、多くの窒素が身体に溶け込む傾向にあります。ダイビング後に海面近くに浮上し、水圧がかからなくなると血液中に溶けていた窒素が体内で気泡になってしまうのです。減圧症になると、マヒ・ショック・脱力感・めまい・しびれ・呼吸困難・関節や手足の痛みが起こります。気泡を作らないためには、減圧速度(浮上速度)に気を使う必要があります。多くの窒素が体内に溶けていても、浮上速度が十分に気をつければ窒素の気泡化が起こらず、減圧症は発症しません。しかし、気泡化を避けて陸上にあがっても、直後に高度の高い場所にいくと気圧の変化で、窒素が気泡になり減圧症を発症してしまうのです。
潜水速度や時間などに関する減圧症のリスクとその防止策
潜水速度や時間などに関する減圧症のリスクとその防止策としては基本的に以下のようなものが考えられます。
潜水の深度
潜水の深度はできるだけ15mより浅くを保つようにしましょう。水深20メートルよりも深いところは潜降直後を心がけ滞在時間は短く、が好ましいとされています。
また、水深30mを超えてくると、減圧症や骨壊死発症のリスクが高くなります。骨壊死とは、骨が腐ってしまう病気です。
潜水の時間
潜水の時間は一般的に潜降開始から浮上開始までの時間のことを指します。
ただ、ダイビングでは正確な潜水時間は計りづらいものです。そのためダイブコンピューターではなく大分テーブルを基準にして考えましょう。 潜降開始から安全停止まで50分以内がベストです。50分を超えてくると、減圧症のリスクが高くなってきてしまいます。
安全停止の深度と時間
安全停止の深度は水深3~5m程度です。じっとしているよりも多少体を動かした方が窒素の排泄が進み減圧症のリスクが低減します。安全停止の時間はルール通り3分。5分間であればより安全性は高くなります。
ただし、安全停止は深度と潜水時間のバランスが重要です。もし、深度と潜水時間が長ければ安全停止の時間も長くしなくてはいけません。
浮上速度
浮上速度は、1分間に9m程度を心がけましょう。浅い水深ほど圧力の変化が大きいので浮上の際は慎重に行います。
また、コースで習うように毎分18mより速い場合はもちろん、3mより遅い場合であっても減圧症のリスクが上がりやすいと言われているので、速度調整は必須です。
ダイビングの回数
ダイビングの回数を増やせば増やすほど、 減圧症の発症リスクも上がります。できれば1日2本までにしておきましょう。
もし3回のダイビングを行う場合は、その際の深度と時間を控えるようにしなくてはいけません。
終了後の休息時間
ダイビング終了後は十分な休息時間を取りましょう。この休息時間によって、体内の過剰窒素を排出します。目安としては、1時間30分以上です。1時間30分以上の休息時間によって、減圧症のリスクはグッと下がります。
減圧症の誘因となるもの
減圧症の誘因となるものは、以下のようなものが例として考えられています。
年齢・肥満
年齢が40歳以上やBMIが25以上の方は注意をしなくてはいけません。これは経験年数や経験本数に関係なく気を付けるべき点です。この年齢や肥満は、減圧症のリスクとしてよく知られています。
古傷
怪我をしたところというのは、気泡ができやすくなっています。一般的に怪我と運動の組み合わせは、何かとリスクが高くなるものです。ダイビングの際動かした箇所に症状が出やすくなってしまいます。
飲酒
当日はもちろん前日であっても飲酒は避けた方がベターです。もし飲酒したとしても、ビール1本まで。ダイビング開始までは12時間以上の時間を開けるようにしましょう。
また、脱水も減圧症が懸念される材料のひとつです。飲酒後はアルコール以外の水分を多めに取り、ダイビングの前後も400ml以上の摂取を心がけましょう。
体調
少しでも体調不良を感じたらダイビングの中止をするべきです。自分が感じるよりも、無理をするリスクは高いもの。もちろん睡眠不足や精神的ストレスも同様に減圧症のリスクになります。
水温
追加でドライスーツを着用しないダイビングは身体を急速に冷やしてしまいます。
ドライスーツの着用をしている場合でも、寒気があれば減圧症のリスクは高くなっています。寒気を感じ血液循環が低下すると、そのぶん窒素の排出は遅れてしまうので要注意です。
ダイビング後の運動
ダイビング後の激しい運動は控えめにしましょう。二酸化炭素が蓄積されると減圧症のリスクも大きくなります。
ただし、運動を完全に避けるわけではなく、安全停止中の適度な運動は必要です。適度な運動は窒素の排出を促進します。
温浴
体が冷えてるうちにシャワーを浴びる・湯船に浸かるなどを行うと減圧症のリスクが高まりると言われています。この辺りの因果関係ははっきりとしていませんが、長時間の温浴は避けておいたほうが無難です。
温浴をする場合は、サッと浴びてサッと出るようにしましょう。もちろんサウナはご法度です。
高所への移動
ダイビング後、インターバルを置かない飛行機の搭乗は減圧症のリスクを高めますが、それだけではありません。
気圧が低くなるところは避けた方がよく、標高400m以上の山登りのような高所への移動はしないようにしましょう。
減圧症の対処方法
ここからは減圧症になってしまった場合の対処方法についてお伝えしていきます。
まずは速やかに医療機関に連絡を行います。減圧症は症状が急激に悪化するケースもあるので、早めの判断が重要です。
医療機関への連絡の際には、ダイブプロフィールや発症時間・症状などを正確に伝えるようにしましょう。これは医療施設へ到着した後の治療においても重要な部分で、提供した情報が初期の診断や治療の正確さに影響を与える場合もあります。減圧症以外の緊急性のある病気である場合も考えられるでしょう。
その後、応急手当を行いますが、飲み込みができるようであれば真水やスポーツドリンクを飲ませます。これは減圧症によって異常が出てしまった血流障害を食い止めるために行うことです。
また、酸素の吸入によって症状が和らぐケースもあります。そのため、もし酸素吸入が可能であれば行いましょう。
1日に1回潜った場合と複数回潜った場合の対応
ダイビングで1日に1回潜った場合と数回潜った場合、飛行機に乗るまでは必ずインターバルをおかなくてはいけません。また、それ以外にも避けた方が好ましい行動もあります。
1日に1回潜った場合も飛行機は、ダイビング終了から搭乗まで「最低12時間」は空けましょう。複数回潜った場合は「最低18時間」必要です。
また、連日潜った場合についても同様に「最低18時間」のインターバルが推奨されています。できればダイビング後の24時間は飛行機に乗らない方がベターです。思わぬ事故にならないように、余裕を持った予定を組んでおきましょう。
ダイビングを計画する際はスケジューリングをすることが大切
ダイビングの予定を組むための具体的な例を紹介します。ダイビングが午前10時までに終了した場合は、次の日の午前6時以降なら18時間が経過しているため、飛行機に乗れます。また、2本以上潜るために午後にダイビングをした場合でも、午後6時までに終わっていれば、次の日の正午12時以降であればの飛行機に乗っても問題ありません。
また、ダイビングショップに予約をする際に、飛行機の時間を伝えましょう。減圧症を考慮し、安心して海に潜れるようダイビングのスケジュールを組んでくれます。
ダイビング後は余裕のある日程を
ダイビング終了後から飛行機に搭乗するまでに12~18時間あれば減圧症の心配はないといわれていますが、もしものことを考え24時間以上空けたほうがよいという医師もいます。ダイビングは水中の世界をゆったりと楽しむマリンスポーツです。ダイビング後に慌ただしくしていては、せっかくの気分も台無し。ダイビングの余韻を楽しみながら、海辺でくつろぐのも一興ですよ。